集集線 車埕:林業やダムやSLや、台湾人にとっても穴場の観光地

31/05/2021

概要

集集線の終着駅である車埕駅は、周囲に雄大な山々がそびえているだけでなく、透き通った水里渓も流れているため、「最も麗しき駅」と呼ばれています。駅舎は、921大地震による被害を受けた後、原木で建て直されました。駅周辺の観光地には、車埕鉄道文化園区や木業展示館などがあり、また、台湾鉄路管理局の日本式建築の宿舎の改装が行われたことで、かつての鉄道の面影と人々の生活の様子が伝わってくることでしょう。木展館展示エリアには、線路とホームが整備され、そこには機関車本体と車両が設置されています。ここでは鉄道と木材産業文化と共に発展してきたことを私たちに伝えてくれています。

台湾鉄道 集集線 鉄道に恋する旅物語

車埕駅
車埕駅は集集線の終着駅で、かつては「最後の駅」との呼び名がありました。旧駅舎はコンクリート造りでしたが、921台湾大震災によって壊滅的な被害を受けました。現在の木造の駅舎は、後に日月潭国家公園管理処によって原木で再建されました。素朴で趣があり、匠の遊び心が施された木造の駅舎だけではなく、周囲の風光明媚な景色が相まった結果、「最も麗しき駅」と呼ばれるようになりました。

台湾鉄道 集集線 鉄道に恋する旅物語
車埕站

昔はここ車埕から日月潭北部の街埔里まで軽便鉄道が走り、ダム建材用資材や林業の運搬という役割を担ってきたそうです。
当時使われていた機関庫や給水塔などは今でも展示館や土産物屋として使われています。
また一方で、車埕の町はずれにある明潭ダムは台湾最大級のダムで、この新旧混在の環境は実は台湾人にとっても隠れた観光名所だったりします。
私も車埕に行くと友人に話したところ、どうやってそんな穴場の名所を探し出したのか、と聞かれました。

旅行メモ

朝ご飯を食べた後バスの時間に合わせ日月潭の民宿をチェックアウトしバス停へ。
6671の9時半発のバスに乗れば、全ての集集線駅で下車できることは時刻表から調査済み。
嘉義で今晩泊まる宿のチェックイン時間に間に合うかどうかは集集線を抜けた後、嘉義方面へ向かう電車の接続次第。

…バス停はまさかの大行列、しかも同じバスを待っている団体さん。
確認したところバスは22人分の座席があり、立ち席は8人まで、とのこと。

バスが到着、助手席は運転手さんの荷物置き場になっているので1人座れないように見えますが…。
数十分の移動とは言え山道で立ち席は厳しい…と乗り込んでいく団体さんの人数を数えながら心配していたところ、何とか21人目の乗客として無事乗り込み、椅子に座ることができました。

南投客運 6671
http://www.ntbus.com.tw/s02.html
南投客運 6801
http://www.ntbus.com.tw/s05.html

よく見ると…座席:21、立席:5
(話が違う、座れたからいいけど)

日月潭を出発し山を下ること数十分、車埕に到着です。
バス停は遊客中心の前にあります。
駅の改札口は目の前なのですが線路があり渡れないため、大きく迂回して反対側へ行く必要があるようです。

車埕站周辺図

とりあえずは遊客中心に寄ってみました。

車埕遊客中心

こういった観光案内所は観光地であれば必ずと言っていいほどありますが、実際のところ何をするところなのかわかっていません。
付近の観光案内をしてもらえる…ような話を聞きますが、旅行情報はいわば固有名詞のオンパレード。
母国語でも難しいと思うのですが、土地感の壁と言葉の壁はどうやって乗り越えるのでしょう?
昔日本だったかヨーロッパだったか、駅近くで予算内で泊まれる宿を探すのを手伝ってもらった記憶があるようなないような…でも今の時代インターネットで自分で探して予約する方が早そうですよね…。
水分補給、資料取集、お手洗いの利用、携帯電話の充電などもできるようですが、なかなか有効活用の仕方がわかりません。

数人詰めている観光案内所も結構ありますが、実際のところは利用する人が多くて忙しいのでしょうか?
スマートフォンで時間を潰しているように見えるのは気のせい?

バス停、車埕遊客中心一帯
鐵道觀光小學堂

かなりわかりにくいですが、ここを通って迂回するようです。
地図を見た感じではもっと遠くまで行かなければならないかと思いましたが、そっちは車用のようですね。
全体的に線路沿いを工事していますので、将来的にはもう少しわかりやすく便利になるのでしょう。

線路横断

バスを降りた後、少しぶらぶらしながらぐるっと回って駅改札口へ向かっていると、実は時間にあまり余裕がないことに気が付きました。

機関車や列車など自由に見学できます

本来であれば車埕にある車埕小飯店というお店で木桶に入った排骨飯が買えるという情報を仕入れていたので、それを買って途中の駅で食べようと思っていましたが、よくよく調べてみると結構値段が高い…しかも用途のない木桶が以降の旅行の荷物になること間違いなし。
更に車埕小飯店は駅前ではなく駅から徒歩数分の距離にあるようで、注文してから調理を始めるタイプの弁当屋さんであった場合、往復時間と調理時間を考えると電車の時間に間に合うか微妙な気がします。

駅前はかなり広く、いろいろ見る所があります

1時間半に1本だけのダイヤで、かつ当日の宿のチェックイン時間にも不安があるところ、出発と同時に1本逃し以降の予定が全てずれていくのは流石に厳しいので弁当は諦めました(後で隣駅まで歩ける距離であったことに気が付きました)。

これは昔の駅舎か何かの再現でしょうか、お土産物屋さんになっています
弁当の入っていない木桶を売っていますね

駅でも木桶などの木工製品を取り扱っていましたが、ゆっくり見たい気持ちを抑え電車の時間を気にしつつ横目に素通り。

町はずれには木場やダムなどもあり結構見るものはあります。
子どもが大勢訪れていましたが林業にまつわる社会見学か何かでしょうか。
十分な時間を確保できず、残念。

何かの体験工場
何も見られず電車を待つのみ

その他の見どころ

ここでは「台湾鉄道 集集線 鉄道に恋する旅物語」に紹介されている車埕の見どころを紹介します。
交通部観光局日月潭国家風景区管理処のサイトに日本語の紹介があるものはリンクを張るのみとし、中国語の紹介しかないもの、紹介自体がないものは「台湾鉄道 集集線 鉄道に恋する旅物語」の紹介文を転載します。

車埕観光マップ(ピントが…)

鉄道観光小学堂

屋外車両展示エリアー
台湾鉄道R100型ディーゼル機関車

台湾鉄路管理局は、1970年以来、鉄道の莒光号の輸送向上に伴い、このR100型ディーゼル機関車を導入しました。当初は、台湾鉄路の西部を走行する莒光号の牽引機関車として利用されましたが、1979年に西部が電化してからは、東部を走行するようになりました。起動加速度が遅く、単純な内部構造であり、ディーゼル燃料が動力源として用いられているため、非電線化の線路や車両基地内でも運行することができます。それだけではなく、新人運転士の教育用の車両としても使用されていました。

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大觀古トンネル

全長280mの大觀古トンネルは、日本統治時代(1919年頃)に建設されました。トンネル内部はS字型であり、壁面には煉瓦と石が使われ、冷たい空気がトンネル内に漂っています。その他にはアーチ型の窪みが6カ所の待避所にあり、出口にたどり着くと透き通った水里渓が見えます。

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石炭台、加水タンク、鉄道信号変換処

開業当初の集集線では、蒸気式機関車が走行していたため、車両が車埕に到着してから加水場のタンク(鶴の嘴に似ているため、水鶴という呼び名があります)から消耗した水の補給が必要であり、同じく石炭も補給されました。現在も当時の面影がしっかり残されています。また、鉄道信号変換所は、当時、日月潭国家風景区管理処が竹南から移転してきたものを再建したため、鉄道文化に於ける歴史的な足跡として残されています。

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鉄道車両展示場(国宝列車)

日月潭国家風景区管理処と台湾鉄路管理局が共同して、既に建設された線路、ホーム、鉄道信号機を活用してパノラマ施設を作りました。ここには、10C1216有蓋車、10R104冷蔵車、そしてS316牽引列車などの10余りの引退した車両が静態保存されています。台湾唯一の屋外鉄道展示場であり、鉄道ファンの聖地となっています。

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車両基地、日本式宿舎、整備場跡

車埕駅は集集線の終着駅で、当日の最終列車が車埕駅に到着した後、車掌と鉄道職員らは宿舎で休息をとります。列車は整備場でメンテナンスされ、翌朝、始発列車として折り返し出発します。日月潭国家風景区管理処は、かつて倉庫として利用されたこの車両基地を再建して、車埕管理センターのオフィス及びビジターセンターとなり(2019年9月に鉄道観光小学堂へ移転しました)、更に周辺の鉄道関連施設、商店などを統合し、鉄道文化園区を完成させました。日本式建築の宿舎は、当時の外観と同じになるように復元されたため、宿舎での駅長と職員らのリアルな日常生活の場面が残されています。

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電力文化

台湾の主要な水力発電の街である日月潭は、過去80年にわたって、台湾電力会社は日月潭と水里渓の畔に、大觀、鉅工、明湖、そして明潭(水里機組を含む)と呼ばれる発電所に加え、抽蓄水発電(揚力式の発電)ダムである明湖、明潭ダム、そして車埕に隣接する発電所を建設しました。ダムの密度は非常に高く、世界でもなかなか見ることができません。観光客は発電施設やダムで、身近に「水力から電力への変化」を感じ取り、そこから大自然の限られた資源の重要性を理解できるはずです。

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明潭ダム

木業文化

車埕木業展示館

車埕天車(クレーン)、貯木池

貯木池は、もともと原木を保存する池で作られました。木材産業が発展した1960年から1970年にかけては、木材を運搬するクレーン(起重機)を使用し、原木を池の中に浸し、木材の使用期限を伸ばしました。時代の変遷とともに、目の前の貯水池の周囲には、カエデやクスノキ、ラクウショウ(落羽松)などの多様な木々と植物が植えられました。一旦立ち止まってここから雄大な山々に囲まれた自然美豊かな車埕を眺めてみませんか?

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木工DIY体験教室

車埕は、かつて木材産業で栄えていました。ここでは、木材産業の工芸特色と環境にやさしいコンセプトを推進するために、木工DIY体験することができます。出来上がった作品は記念に持ち帰ることが出来ます。木材産業の町の特色が活用されている木桶に入った昔懐かしの味を楽しめる弁当もこちらで販売しています。

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車埕の特産品

木桶弁当、特に梅干、梅酒、梅酢、梅ソース、梅入り麵、梅しょうゆ、梅酒ソーセージ、梅酒アイスキャンディー、シンビジウム、タケノコなど。

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参考

Wikipedia – 車埕駅

駅付近のおよその場所です。

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